ストレスには漢方が効果的?
漢方医学では、心と体は一体であるという「心身一如(しんしんいちにょ)」の考え方に基づき治療を行います。
ストレスが原因で生じる身体の不調や心の問題も、体全体のバランスを整えることで改善を目指します。
このため、漢方はストレス関連の症状に対して特に効果的とされています。
ストレスによる不調は、原因が複雑で特定しにくいことが多いですが、漢方では心と体の両方を診ることで、根本的なアプローチを行います。
その結果、ストレスによる不快な症状の緩和だけでなく、再発予防や健康の維持を目指すことができます。

ストレスが発生するメカニズム
ストレスとは、外部からの刺激によって体内に生じる反応のことです。
ストレスの原因となる刺激は「ストレッサー」と呼ばれ、以下のように分類されます。
物理的・化学的ストレッサー | 暑さや寒さ、有害物質など |
生理的ストレッサー | 病気、飢え、睡眠不足など |
心理的・社会的ストレッサー | 職場や家庭での不安、緊張、恐怖、怒りなど |
ストレッサーに対して体は防御反応を示し、適応しようとします。
しかし、適応しきれず「不適応」状態に陥ると、身体や精神にさまざまな不調が現れることがあります。
この反応は個人差が大きく、同じストレッサーでも人によって影響の程度が異なります。
心に起こるストレスの影響
- 気分の落ち込みや憂鬱感
- イライラしやすくなる、怒りっぽくなる
- やる気の低下や集中力の欠如
- 興味や関心が薄れる
- 悲しい気持ちが湧き上がる
- 自分を責めたり、無価値感を感じる
これらの症状は軽度でも放置せず、早めの対処が必要です。
特に気分の落ち込みが長期化すると、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
身体に起こるストレスの影響
- 眠れない、または過眠になる
- 寝ても疲れが取れない
- 食欲不振や暴飲暴食
- 頭痛
- めまい
- 耳鳴り
- 肩こり
- 腰痛
- 動悸
- 息切れ
- 腹痛
- 下痢
- 便秘
- 理由もなく涙が出る
これらの症状が続くと、生活の質が低下し、さらなるストレスを招く悪循環に陥ることがあります。
ストレスが溜まると
漢方では、ストレスによって「気」(き)の流れが滞る状態を「気滞(きたい)」と呼びます。
気滞が進行すると、体内のエネルギーの循環が乱れ、以下のような不調を引き起こします。
精神的症状 | イライラ、不安感、落ち込み |
身体的症状 | 胃の張り、腹痛、ゲップやガスの増加 |
婦人科系の症状 | 生理不順や月経前症候群(PMS) |
気滞は主に精神的なストレスが原因ですが、食生活の乱れも関係しています。
特に、責任感が強く、几帳面で完璧主義な人、悩みを抱え込みやすい人に多く見られる傾向があります。
漢方からのアプローチ
気の巡りを整える
漢方薬を用いて、体内の気の流れをスムーズにし、ストレスによる滞りを解消します。
代表的な処方には、加味逍遙散(かみしょうようさん)や柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)があります。
これらは、精神的なストレスによる不調に効果的です。
体全体のバランスを整える
漢方は、心と体を一体として診るため、気滞による不調だけでなく、全身の状態を改善します。
例えば、胃の張りや消化不良がある場合は、それに合わせた漢方薬を処方します。
生活習慣の見直し
ストレスを軽減するためには、生活習慣の改善も重要です。
十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を取り入れることで、漢方の効果をさらに高めることができます。
こんなお悩みがある方はご相談ください
- プレッシャーを感じる受験生
- 人に言えない悩みを抱えた方
- 子供の不登校など
これらのケースでは、心のケアだけでなく、漢方による体のサポートが効果的です。