更年期のお悩み
更年期障害について
女性の人生にはいくつかの重要な段階があります。
その中でも、更年期は特に体と心に大きな変化が訪れる時期です。
更年期に起こる変化の主な原因は、卵巣機能の低下による女性ホルモン（エストロゲン）の急激な減少です。
このホルモンバランスの乱れが、身体的・精神的な不調を引き起こすのです。
更年期の症状には個人差があり、ほとんど症状が出ない人もいれば、日常生活に支障をきたすほどの重い症状に悩まされる人もいます。
こうした症状に対して、漢方医学では個々の体質や症状に合わせたアプローチを行い、一人ひとりに適した治療を提案します。
更年期障害の主な症状
更年期には、さまざまな不調が現れることがあります。
これらの症状は「不定愁訴（ふていしゅうそ）」と呼ばれ、検査では異常が見つからないものの、生活に支障をきたすほどの自覚症状を伴う場合があります。
主な症状の分類
血管運動神経の症状
- ほてり（ホットフラッシュ）
- のぼせ
- 異常な汗の量
- 動悸
- 息切れ
- 手足の冷え
- 疲れやすさ
精神神経の症状
- 頭痛
- めまい
- 立ちくらみ
- 不眠
- 耳鳴り
- 不安感
- イライラ
- 気力の低下
運動器関係の症状
- 抑うつ
- 記憶力の低下
- 肩こり
- 腰痛
- 手足の痛み
- むくみ
また、消化器系（吐き気など）、婦人科系、泌尿器系の症状が現れる場合もあります。
更年期障害の症状は、身体だけでなく精神面にも影響を与え、特に自律神経のバランスが乱れやすくなることが特徴です。
更年期障害の原因
更年期障害の主な原因は、女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少です。
更年期に入ると、卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌量が大きく変動します。
この急な変化によりホルモンバランスが崩れ、自律神経の調整がうまくいかなくなります。
その結果、身体や心の不調が現れるのです。
エストロゲンは女性特有の機能だけでなく、生命活動全般にも大きく関係しています。
たとえば、次のような働きがあります。
- 自律神経のバランスを安定させる
- 骨を丈夫に保つ
- コレステロール値を下げる
そのため、更年期にエストロゲンが減少すると、これらの働きが弱まり、身体や心に影響が出るのです。
この時期は生活習慣や食事、心のケアを見直すことが重要です。
更年期が始まる年齢
更年期が始まる時期は、一般的には45歳ごろと言われています。
しかし、個人差が大きく、30代後半から体に変化を感じ始める人もいれば、50歳近くになってようやく更年期症状が現れる人もいます。
また、中には特に目立った症状を感じることなく更年期を過ごす人もいます。
更年期とは、閉経を挟んだ前後10年間、つまり閉経に向けて体が大きく変化する「転換期」を指します。
このため、更年期症状の有無にかかわらず、すべての女性に訪れるライフステージといえます。
漢方療法からのアプローチ
漢方医学では、「更年期障害」という病名だけではなく、一人ひとりの体質や症状のパターン（証：しょう）を重視します。
体格や顔色、舌の状態、脈の質感など、全身の状態を総合的に見て、その人に合った漢方薬を処方します。
同じ更年期障害と診断されても、人によって「証」が異なるため、処方される漢方薬も変わります。
漢方治療は、一時的な症状の緩和ではなく、体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで根本的な健康改善を目指します。
漢方療法からのアプローチによって、更年期を健やかに乗り越えることが期待できます。
更年期の症状別おすすめの漢方薬
加味逍遙散
特徴
不眠、不安、イライラ、のぼせ感がある方に適しています。
不定愁訴の症状改善によく使われ、特に気のめぐりや血流を整えることで女性特有の不調を和らげます。
効能・効果
- 冷え症
- 月経不順
- 更年期障害
- 不眠症
- 虚弱体質
桂枝茯苓丸
特徴
上半身がのぼせ、下半身が冷えるという症状がある方におすすめです。
「気」や「血」のめぐりを改善し、体内の熱の偏りを整えます。
のぼせや冷えが同時に起こる方や、生理痛やニキビの悪化にも有効です。
効能・効果
- 月経不順
- 更年期障害
- 肩こり
- のぼせ
- しみ
- 湿疹
当帰芍薬散
特徴
冷え症で、めまいやむくみがある方に適しています。
「血」を補い、体を温めるとともに、水分のバランスを整え、むくみや頭痛を改善します。
効能・効果
- 冷え症
- 月経不順
- 生理痛
- 更年期障害
- むくみ
- めまい