ホルモンバランスとは
ホルモンバランスとは、体内で分泌されるホルモンの量や働きの調和を指します。
特に女性にとって重要なのが、妊娠や出産、健康的なライフスタイルを支える「女性ホルモン」です。
この女性ホルモンには、「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類があります。

エストロゲン
エストロゲンは、月経後から排卵までの期間に増加し、子宮内膜を厚くして妊娠に備えます。
プロゲステロン
プロゲステロンは排卵後から月経直前にかけて分泌され、子宮内膜をさらに整えて受精卵が着床しやすい状態を作ります。
月経前になると、この2つのホルモンがともに減少し、月経が起こるのです。
この周期はおよそ28日間で繰り返されますが、ホルモンバランスが崩れると、体と心のさまざまな不調を引き起こします。
ホルモンバランスが乱れたときの症状
月経に関するトラブル
- 月経不順
- 不正出血
- 無排卵や卵子の成長不足による不妊
自律神経の乱れによる不調
- 頭痛
- 肩こり
- 便秘
- イライラ感や不安感
特に10代~20代ではホルモンバランスが安定していないためPMS(生理前症候群)を引き起こしやすく、40代~50代ではホルモン分泌の急激な減少により、更年期症状が現れることが多いのが特徴です。
年代別にみるホルモンバランスの影響
PMSなどの症状【20代~40代】
PMS(生理前症候群)は、女性ホルモンのバランスが崩れることで起こる症状で、女性の約9割が一度は経験すると言われています。
20代 | 乳房の張りや腹痛、頭痛などの身体的な不調が目立つ傾向があります。 |
30代 | 身体的な症状に加え、イライラや憂鬱感、怒りっぽさなど精神的な不調が強く現れやすくなります。 |
PMSの症状が強く出ると、日常生活に支障をきたすこともあるため、早めの対策が重要です。
更年期による症状【45歳~50代】
更年期とは、女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌が急激に減少する時期を指します。
この時期に現れる代表的な更年期症状として、以下のようなものがあります。
- のぼせや異常な発汗(ホットフラッシュ)
- 疲れやすさ
- 冷えや肩こり
- イライラや気分の落ち込み
- 頭痛や腰痛
更年期の症状は個人差が大きく、ほとんど影響を受けない人もいれば、日常生活に大きな支障をきたす人もいます。
ホルモンバランスを改善する方法
女性ホルモンのバランスは、生活習慣やストレスの影響を受けやすいものです。
日常生活を見直し、体調を整えることで、ホルモンバランスを安定させることが期待できます。
適度な運動 | ウォーキングやヨガなど、体を適度に動かす習慣は、ホルモンの分泌を促進します。 特に血行が良くなることで、ホルモンバランスの安定が期待できます。 |
バランスの良い食事 | ホルモン分泌をサポートする栄養素を含む食品を積極的に取り入れましょう。 |
ストレスの軽減 | ストレスはホルモンバランスの乱れを引き起こす大きな原因です。 深呼吸や瞑想、趣味の時間を持つなど、自分なりのリラックス方法を見つけてください。 |
質の良い睡眠 | 睡眠中に分泌されるホルモンには、ホルモンバランスを整える働きがあります。 就寝時間を一定にし、寝る前のスマホやテレビの使用を控えることで、質の高い睡眠を確保しましょう。 |
漢方によるホルモンバランス改善
漢方では、ホルモンバランスの乱れを「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」という3つの柱の崩れと捉えます。
これらを整えることで、PMSや更年期症状などの不調を改善していきます。
気を整える | ストレスや疲労がたまりやすい人には、気の巡りを良くする漢方薬が処方されます。 代表的なものとして「加味逍遙散(かみしょうようさん)」があります。 |
血を補う | 貧血や冷え性、月経不順のある人には、血を補い巡らせる漢方薬が効果的です。 「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」がよく使われます。 |
水を整える | むくみや冷えが強い人には、体内の水分バランスを調整する漢方薬が有効です。 「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などが選ばれることがあります。 |
ホルモンバランス改善のポイント
定期的な健康チェック | ホルモンバランスの乱れは、甲状腺や卵巣などの病気が原因の場合もあります。 定期的に婦人科で検査を受けることをおすすめします。 |
無理をしない | 不調を感じたら無理をせず、早めに休息を取ることが大切です。 特に月経前や更年期に不調が出やすい場合、自分の体調リズムを把握しておくと良いでしょう。 |
漢方の専門家に相談する | 漢方は個々の体質や症状に合わせて処方されます。 症状が長引く場合や自己判断での改善が難しい場合は、当薬局までご相談ください。 |