自律神経失調症
自律神経失調症とは
自律神経は、呼吸や心拍、体温調整、代謝など、生命活動を維持する重要な役割を果たしています。
自律神経は交感神経(活動を活発にする神経)と副交感神経(リラックスを促す神経)によって管理されています。
この2つの神経がバランスよく働くことで、私たちの体は健康を保っています。
しかし、この切り替えがうまくいかなくなると、自律神経のバランスが乱れ、心身にさまざまな不調が現れます。
この状態を「自律神経失調症」といいます。

自律神経失調症の特徴
自律神経失調症では、身体的な症状と精神的な症状の両方が現れることが多く、これが特徴です。
身体的な症状
- 倦怠感や疲れやすさ
- 頭痛や動悸
- 不眠
- 喉の詰まり感
- 食欲不振や胃の不快感
- のぼせやほてり
- 汗が止まらない
精神的な症状
- イライラしやすい
- 気分の落ち込みや不安感
- 理由もなく悲しくなる
- 集中力が続かない
これらの症状は、不定愁訴(ふていしゅうそ)と呼ばれ、検査をしても異常が見つからないことが多いです。
ただし、うつ病や不安神経症など心の病とも似た症状があるため、適切な診断とケアが必要です。
自律神経失調症の原因
自律神経失調症の原因は、日常生活の中に潜んでいることが多いです。
例えば、次のような要因が挙げられます。
精神的なストレス | 職場や家庭の人間関係、緊張感、閉塞的な環境など |
生活習慣の乱れ | 睡眠不足、食事の不摂生、運動不足 |
ホルモンバランスの変化 | 更年期による女性ホルモンの減少 |
漢方医学から見た自律神経失調症
漢方医学では、上記の要因が「気」や「血」の乱れを引き起こすと考えます。
「血」の不足 | 無理なダイエットや夜ふかし、過度なストレスによって発生 |
「気」の滞り | 緊張や感情の激しい変化によって流れが悪くなる これらが重なることで、自律神経の乱れが症状となって現れるのです。 |
漢方によるアプローチ
自律神経失調症の症状には、西洋医学の治療(抗うつ剤や抗不安薬など)も有効ですが、漢方医学では体質や症状に応じた根本的な治療を目指します。
「血」の不足による症状 | 不安感、不眠、動悸、倦怠感などには、「血」を補う漢方薬や生活習慣の見直しが効果的です。 |
「気」の滞りによる症状 | イライラやのぼせ、喉の詰まり感、胃の不快感などには、「気」を巡らせる漢方薬やリラックスを促す生活習慣が有効です。 自律神経失調症では、症状が一人ひとり異なるため、自分の体質や不調に合った漢方薬を選ぶことが重要です。 |
不眠
不眠とは
睡眠は心身の疲れを癒し、健康を維持するために欠かせないものです。
不眠とは、以下のような状態が続くことを指します。

- 寝つきが悪い
- 夜中に目が覚める
- 夢が多く、ぐっすり眠れない
- 朝早く目が覚めてしまう
不眠が続くと、朝から身体がだるい、日中も眠気が抜けない、集中力が低下するなど、生活に支障をきたします。
健康的な睡眠を得るためには、適度な疲れとリラックスできる環境が必要です。
しかし、寝る直前までスマホを使うなど、生活習慣が原因で眠りを妨げていることもあります。
不眠の原因
生活習慣の乱れ | 昼夜逆転の生活、睡眠時間の不足、スマホの使用などが、交感神経を高ぶらせて副交感神経の働きを鈍らせます。 その結果、「目がさえて眠れない」といった状態になります。 |
食事や体質の影響 | 脂っこいものや甘いものの過剰摂取、アルコールやカフェインの摂りすぎは、不眠の原因になることがあります。 また、慢性病や加齢、出産後の体力低下なども不眠を引き起こします。 |
精神的なストレス | 仕事や人間関係の緊張、不安や心配事などが心の負担となり、不眠を助長します。 |
病気による影響 | 不安神経症や統合失調症といった精神疾患では、不眠が伴うことが多く見られます。 |
漢方で体質改善と不眠対策
漢方では、不眠を「体からのSOS」と捉え、根本原因を解決するアプローチを取ります。
「気・血」の補充 | 体力不足や虚弱体質の方には、体を元気にし、自然な眠りを誘う漢方薬を使います。 |
緊張や不安の緩和 | ストレスや精神的な負担が大きい場合は、リラックスを促す漢方薬が用いられます。 |
不眠改善には生活習慣の見直しも大切
不眠改善には生活習慣の見直しも欠かせません。
以下のような生活を心掛けましょう。
- 就寝1時間前にはスマホやパソコンを控える
- 寝る前に軽いストレッチや読書などリラックスできる時間を作る
- アルコールやカフェインの摂取を控える
漢方薬は即効性はありませんが、根本的な体質改善を図ることで、睡眠の質を高め、不眠だけでなく関連する不調の改善も目指します。